大きく産んであげるね、地球
- 2013/12/31
- 13:31
目を閉じれば、私は消える。
まばたきの隙に、
あの一瞬の暗闇のときに、
からだは別の何かへすり替わっていく。
私が地球をはらんだのは
誰のしわざでもない。
まぶたの裏に一幕の宇宙をひろげて
ここからずっと、覚えている。
私を子ども扱いするのなら
地球、お前を産んでみせよう。
子宮の内にふくらませ、
お前をひそやかにまわしてやる。
覚えたての自転はぎこちなく、
ときおり子宮の壁にすり寄ってくる。
未熟な重力のため、
宇宙へ絶え間なく砂がこぼれる。
さらさらと
文字をしたためるようなその音は
身重のときを告げている。
地球を身籠る支度をしよう。まず、影のうぶ毛を踏みしだき、まっただなかの泥土ねじる。けぶっていくそれらひとつひとつに指をさし、告げていくのだ、
(わたしはお前)
開かない目をこじあける度、そこに私を見たので、いっそうお前をいじめたい。海を一身に浴びせるため、何度でも突き落とそう。そうしてすっかり角が取れたなら、まわってごらん、お前。もっと上手にまわれるだろう。
ひとよりも大きく産んであげるね、地球
うそぶく。
腹をたてに撫で、よこにさすりながら息をつく。
宇宙に浮かべて、初めてお前の青さを知るだろう。
立たされる場所がないのなら、
まず腹を痛めたい。
(許せますか)
お前のうえに立つ、それだけの母。
きょうも背が
伸びすぎてしまった。
まばたきの隙に、
あの一瞬の暗闇のときに、
からだは別の何かへすり替わっていく。
私が地球をはらんだのは
誰のしわざでもない。
まぶたの裏に一幕の宇宙をひろげて
ここからずっと、覚えている。
私を子ども扱いするのなら
地球、お前を産んでみせよう。
子宮の内にふくらませ、
お前をひそやかにまわしてやる。
覚えたての自転はぎこちなく、
ときおり子宮の壁にすり寄ってくる。
未熟な重力のため、
宇宙へ絶え間なく砂がこぼれる。
さらさらと
文字をしたためるようなその音は
身重のときを告げている。
地球を身籠る支度をしよう。まず、影のうぶ毛を踏みしだき、まっただなかの泥土ねじる。けぶっていくそれらひとつひとつに指をさし、告げていくのだ、
(わたしはお前)
開かない目をこじあける度、そこに私を見たので、いっそうお前をいじめたい。海を一身に浴びせるため、何度でも突き落とそう。そうしてすっかり角が取れたなら、まわってごらん、お前。もっと上手にまわれるだろう。
ひとよりも大きく産んであげるね、地球
うそぶく。
腹をたてに撫で、よこにさすりながら息をつく。
宇宙に浮かべて、初めてお前の青さを知るだろう。
立たされる場所がないのなら、
まず腹を痛めたい。
(許せますか)
お前のうえに立つ、それだけの母。
きょうも背が
伸びすぎてしまった。